タイ語発話中における英語の発音の難しさについて
前回、専門用語はネットを駆使し、タイ語以外に英語の用語も調べておく必要があるというお話を致しました。
実は苦労はその先にもあります。
タイ人がタイ語を話す中で英単語を部分的に使用する場合、タイ語に引きずられた発音となり、一般的に日本人が想像する英語の発音とは異なっています。
通訳中に「この話題ならあの英語の専門用語が出てくるかも」と予想がつくような場面なら良いのですが、タイの方々、専門用語に限らず一般的な用語でも英語を使う方が多くいらっしゃいます。
外国人相手に話していると思うとサービス精神で盛大に英語を盛り込んできます。
こちらとしてはタイ語を聞いているつもりが、聞きなれない単語が英語だと気付くまで、一瞬混乱すること度々です。
聞き返してもタイ語風の英語が聞き取れず、タイ語で何と言うか聞くと、知っている英単語の時も多く。
初めからタイ語で言ってくれればスムーズに話が進むのにと思う事しばしばあります。
英語の発音問題は、日本語からタイ語に通訳する時も重大な注意事項です。
専門用語はタイ語だと説明調で長くなるため英語を使用した方が便利なことが多いのですが、英単語をタイ文字で音声表記したスペルを念頭において、タイ風の英語を発音しなければ理解して貰うことが難しくなります。
クライアントの企業名も注意が必要です。
日本の企業名は母音で終わりますが、タイ語は同じ「ア」でも短母音と長母音、声調が5種類有りますので、その企業がどの「ア」を使用しているか調べておく必要があります。
子音の種類もアルファベットや日本語より多いので、何れにしろ企業のホームページでのタイ語スペル確認が必要です。
また会議参加者の名前、タイ側についてはアルファベットで共有されますが、アルファベットでは正確な発音ができません。
タイ人の感覚では声調が異なれば違う音です。タイ語を知らない日本人であればアルファベットをローマ字読みしても全く問題ありませんが、タイ語の通訳者として発するのであればお名前を間違えて呼ぶようなもので失礼に当たります。
組織のトップ層であればウェブサイトでタイ語のお名前のスペルが確認できますので、職位もタイ語で調べておきます。見つからない場合は、現場でお付きの方にそっと訪ねる時もありました。
「ゆっくり話した方が通訳しやすいですよね。」と気遣い下さるスピーカーは沢山いらっしゃいます。
ですが私の切実な願いはそれよりも、日本人は日本語で、タイ人はタイ語で、英語は必要な専門用語に留めて頂きたいなあということです。
(同時はゆっくり、タイ語は日本語より同様の内容で1.2~1.3倍程度長くなりますので、特に日本語発言はゆっくりにして頂けると助かります。逐次は自然にお話し頂いて大丈夫です。)