タイ語通訳翻訳フリーランスのお仕事　コロナ禍

2021年8月29日 2021年9月1日

mariko

コロナ禍も稼働日数自体は月15日~20日程度とコロナ前とはあまり変化はしていません。が内容が大きく変化しました。

2020年2月20日に午前：視察・会議、午後：取締役会（既にオンライン）、夜：弁護人接見の通訳をして以降、会議通訳は5カ月間ゼロとなりました。

しかし入れ違いに他の業務が増加しました。

コロナ前は会議通訳の予定が入っていたり、会議通訳の準備をしたりするため、直前の仕事の依頼はお断りすることが多くなっていましたが、会議通訳が無くなった事でそれまでは受けられなかった仕事が受けられるようになりました。

まず司法通訳が増加しました。外国人観光客を見かけなくなり人流も減少すると、街中で外国人が目立ち通報が増えたということもあるかもしれません。2020年は司法通訳の割合が高くなりました。

また、現在も原則週1日、派遣社員として金融関係で翻訳をしていますが、コロナ関連資料の翻訳が大量に発生し、数ヵ月は週に3日程度翻訳作業をしていました。

それ以外にフリーランスとしての翻訳業務も、以前はスケジュール的に難しかったボリュームのある案件も受けられるようになりました。

また翻訳支援ツールを使用する作業もコロナ前はツールの使用法を学ぶ時間を捻出することが難しい状態でしたが、MemsourceやXTMを使用する案件も受けるようになりました。

もう一つ、放送翻訳は当日依頼が多く、当日放送でない番組の場合は終了時刻が事前に確定しておらず深夜までの作業が発生することも有り、子供がいるとなかなか難しい仕事です。

ちょうど次女の中学受験が2020年2月に終わり、会議通訳も無くなり、ほぼ毎回依頼を受けられるようになり、映像素材や情報のリサーチ、映像使用の許諾取得業務にも慣れてくると、依頼が大幅に増加しました。

こうしているうちに2000年7月下旬から二か国間協議や取締役会などの定期案件の会議通訳が僅かに戻ってきました。

しかし毎年秋は会議通訳の繁忙期ですが、2020年内にタイ日通訳では繁忙期は訪れず、2021年1～3月が会議通訳の繁忙期となりました。

会議通訳の中身も大きく変化しました。オンラインであることは勿論ですが、私の場合は同時通訳案件が遂次通訳案件より多くなりました。

セミナーやシンポジウム、カンファレンス等、コロナ前に実施されていた類のものに加えて、通常時であれば対面遂次で実施していたのではないかと思われる比較的小規模な会議も同時通訳でおこなわれることが出てきました。

同通ブースを設置したりパナガイドをレンタルしなくともパソコンのみで同通が実施できるようになり、経費が大幅に抑えられるようになったからでしょう。

またオンラインの遂次通訳では、理解できない外国語を聞いている時間が大変な無駄な時間に感じられることも要因でしょうか。

小規模な会議では自宅から同時通訳を行ない、通訳者自身でマイクや有線LANケーブル、会議によっては2回線2デバイスを準備し、パートナーとの通訳交替時の工夫をしたりと、新たな対応が必要となりました。もちろん各種通訳プラットフォームに慣れる事も必要でした。

大規模な数ヵ国のトップが参加するような会議では、コロナ前のように会場にブースが設置され、同通機器の仕様もコロナ前と同じようにセットされ、音声エンジニアが待機し、より通訳に集中できるよう工夫されています。

参考までに最近のある1カ月の状況です。

2019年の年収が過去最高でしたが、2020.3-12月期売上は2019年同期比で77％に減少、2021年上半期は2019年同期比105％増加でした。

在宅勤務やオンライン通訳の普及により、1日に対応できる案件が増加しました。

会議通訳を3件した日もあれば、タイの首相と副首相を別案件で同日に通訳した日もありました。翻訳2件、放送翻訳3件の計5件を1日で対応した日もあります。何れもコロナ前には難しかったことです。

ただ、以前は通訳現場で通訳の合間に、時には会議中に、タイ人の楽しいジョークを聞いたり通訳しながらこっそり大笑いすることが楽しみの一つだったのですが、オンライン通訳でその機会が殆ど無くなってしまった事がとても淋しい日々です。

今秋冬の案件問合せが入ってきていますが、例年のような繁忙期となるかどうかは今のところ不明です。